「寒くなるのが、ちょっと楽しみなんです。」
そう言える人は、だいたいこのスーツを持っている。
尾州で織られた紡毛1/14ウール・ナイロンフラノ。触れた瞬間にわかる“ただものではない”柔らかさと、しっかりと芯のある風合いが魅力の中肉厚素材です。ふんわりとした手触りなのに、どこか頼もしい。その絶妙なバランスは、まるで「優しいけれど意志のある大人」のよう。袖を通した瞬間、思わず背筋が伸びる。だけど堅苦しくはない。そんな不思議な存在感を持つ生地です。
このフラノ、ただの冬素材ではありません。
電車で座っても、車のシートにもたれても、しわになりにくい。
仕事帰りにそのままバーに寄っても、シルエットが崩れない。
そして、ほんのりとした起毛感が、冬の光を受けて艶やかに輝く。
つまり、どんな状況でも“ちゃんと見える”スーツ。
それがこの尾州フラノの底力です。
晩秋から冬にかけての街には、冷たい風とともに、
コートの下に差が出る季節がやってきます。
周りが防寒重視の中、あえて軽やかにこのフラノスーツで颯爽と歩く。
「寒そう」なんて言わせません。
だって、見た目は上品でも、内側はしっかり温かい。
一度袖を通せば、冬の空気さえちょっと心地よく感じるはずです。
しかもこの素材、ユーモアまで織り込まれている気がします。
真面目すぎず、くだけすぎず、
まるで“冗談のうまい紳士”のような空気をまとっている。
会議室でも、カフェでも、誰かの視線が「いい生地ですね」と語りかけてくる。
それに気づいて、心の中で少しニヤリ。
そんな小さな愉しみが、この生地のもうひとつの魅力です。
尾州の織機から生まれた確かな品質に、
日本の冬の空気が混ざり合って完成する、大人のスーツ。
この冬は、寒さを理由におしゃれを楽しみましょう。
「寒いから仕立てた」——それでいいじゃないですか。